この日は、フランクロイドライトの名建築、落水荘を見に行く予定をしていました。
この旅を企画したときから、落水荘だけは必ず行こうと地図にメモしていたくらい楽しみにしていた場所。
FIT在学中、せまるプレゼンの準備のため泣く泣く諦めたインテリアデザインクラブの落水荘ツアーも、行きたくて仕方なかった。
しかしいまぼくには車がある。そして時間もある。
キャンプ場を飛び出してハンドルを切ったぼくは
鮮やかに落水荘をスルーしました。
不自由な観光客
ニューヨークに住んでいる間、多くの観光客と出会いました。
彼らは片手にガイドブックを持ち、そこで薦められていたお店やスポットを回っていました。
ネットを漁れば「ここだけは行っておきたい!」のようなエントリーが溢れ、ニューヨークに来たなら自由の女神は行かなくちゃダメ!みたいな文言を当たり前のように見ます。(ぼくもそういう記事を書きます
しかし。
自分の限られたお金と時間を使ってする旅が、ただただ誰かも知らない第三者(ガイドブックやブログ)によって勧められた場所って、なんか不自由じゃないですか?
事前情報を詰め込んで、ここだけは行きたい!と細々と計画を立ててしまったら、現地に着いた時に直感的にビビッときた場所はどうするのでしょうか。
本当に自由の女神見たいのか、それとも、見とかなくちゃいけないと誰かに言われたのか。
もちろん、誰がどこに行こうが自由です。その人が、ここだ!と感じたのならそこの行くのが正解だと思います。
でも、限られた時間の中で旅行者の人は、「あそこにもいかなくちゃ!」「ここにもいかなくちゃ!」と全く余裕のない、せわしい旅をしているやうに見受けられました。(あくまで個人的にですが。
この日ぼくが落水荘に向けてハンドルを切らなかったのは、完全に直感でした。
あんなにいきたいと思っていた場所が、朝起きたらそうでもなかった。
しかし行くと決めたからには…と一瞬考えましたが、別にぼくが落水荘に行かなかったからとて誰に迷惑かけるわけでもなし、いともあっさり落水荘行きを取りやめました。
しかしそうなると狂うこの日の予定。
家族のLINEグループで(仲良しか)両親に何気なく尋ねたところ、父に「シンシナティでメジャーリーグを見る」という斜め上のアイデアをもらいました。
興味なかったけどピンときた
ぼくは、野球とは死ぬほど縁がありません。
自分の人生で野球についてあえて思い出すなら、小学生のころに友達とキャッチボールをしにいこうと外に出て初球をモロに顔面で受け止めて血まみれになったことや、中学の時の体育の授業で振ったバットをそのまま離し、後ろで控えてたエースに怪我をさせたこと、あとパワプロで友人に一回表でコールド負けしたこと、などというロクデモナイ記憶しかありません。(そのくせマリナーズのTシャツを着てたミーハー。
大阪生まれ育ちですが別に阪神ファンでもなかったし、っていうか選手の名前はルーキーズのキャラクターの方が先に出てくるし、夕飯時に家族で野球を見てても選手や試合よりも入場曲の方が気になるんです。
日本でも見に行ったことがないし、NYにも五年いたくせにヤンキースタジアムはおろか、ブロンクスすら踏み入ったことがありません。
とにかく野球に興味がない。
そんなぼくが、父から「シンシナティでMLBを見る」というアイデアをもらった時、「それだ!」と思いました。
なぜかはわかりません。わかりませんが、「おもしろそう」だと感じたのです。完全なる直感。
落水荘とそれを天秤にかけたとき、明らかにワクワクしたのが後者だった。
だからぼくは、ずっと楽しみにしていた落水荘を2秒で捨てて、シンシナティへとハンドルを切りました。
それが旅の醍醐味
旅が日常の人のことはわかりませんが、普通は旅って特別な時間ですよね。
いつもの日常のルーティンから離れ、いつもと違う環境でいつもと違う自分になる。
一人旅ならなおさら。その時の自分は何にも縛られていない。(時間とかお金とかは別として
どこで何をするか、その選択権全て自分にある。もちろん、観光ガイドで紹介された場所を選ぶのも自分ですし、それもまた自由です。
でも、そういうのを一切取っ払って、自分の心とか気持ちとか直感?に従って動くのも、それまた旅という特別な瞬間の醍醐味ではないでしょうか。
ニューヨークに来たからって何々しなくちゃいけない、なんて言ってる人を見ると、なんだかもったいないなぁと感じます。(こんなサイトを作ってるぼくが言うのもなんですが笑)
自分が直感的にここだ!と感じ場所に行けばいいじゃない。
別にホテルで1日ダラダラしたっていいじゃない。
観光なんてせず、一日スタバでNetflix見てたっていいじゃない。
違う場所で自分が感じた、ベストだと思う好きなことをする。
それこそが、旅の醍醐味だと思うのです。
見てきた
で、実際にMLBを見てきたわけですが、どうだったかと言いますと
試合は途中で見るのやめました。(笑)
やっぱり野球そのものに興味なかったです。
ただ、街全体の野球に対するモチベーションや、試合前の会場周辺のダフ屋の行動だったり、会場の盛り上がりやスタジアムの設備など、知らなかったことを多く知ることができました。
特に本場のスタジアムのエンターテイメント感は、野球が好きじゃなくてもたまに遊びに来たくなる、すごく楽しい環境。
いやまじでデートで行きたい。(切実)
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落水荘を見ていたら、この日の記事はまた違った内容だったのかもしれません。だけど、この日ぼくは斜め上の選択をしたおかげでまた、いろんなことを考える機会に恵まれました。
直感。
日常からずっとそれに従うのは色々と支障が出るのでほどほどがいいと思いますが、旅の時くらい、全力で直感に従ってみるのもいいんじゃないでしょうか?
それが、もしかしたら新しい扉を開くきっかけになるやも。ならんやも。
この日の模様を動画でも
そんな感じで。