皆さんは、デザインという言葉の意味を知っていますか?
一般の人たちの多くが、「デザイン=見た目」と勘違いしていますが、実はこれ、大きな勘違いで、デザインにおけるビジュアルの部分というのは、実はその過程の最後の10%くらいです。(私感です)
デザインとは、基本的に「そこにある問題を解決するための方法」であり、その意味で捉えれば、例えばコミュニケーションだったり、スポーツだったり、ライフスタイルだったり、実はあらゆるものがデザインと通じるのです。
そういうことをより深く理解するためのデザイン関連の良書を、NYでデザイン留学中の僕の目線で8冊チョイスしてみました。
デザインを学びたい人はもちろん、全くデザインに興味のない人、デザインとは何かを知りたい人に、是非読んでもらいたいです。
ウラからのぞけばオモテが見える (佐藤オオキ/nendo・10の思考法と行動術)
今や日本を代表するデザインオフィスの一つであるnendo主宰・佐藤オオキさんの様々なプロジェクトとその思考プロセスが紹介されている作品。
デザイナーなら一度は見たことのある有名作品が、一体どのように作られたのかが、佐藤さん手書きのメモなどで理解出来るという、デザインを学ぶ人間からしてみたらよだれモノの一冊。
発想力が鈍った時、手に取ることで思考のアイデアをくれる超良書です。
デザインのデザイン
グラフィックデザイナーの大御所、原研哉さんが、デザイナーにとっての究極の課題、「デザインとは何なのか?」を世に問うた一冊。
基本的なデザインの歴史と、自分が関与したプロジェクトへの取り組みの回想などから、彼の長いデザイン人生の中で見出した「デザイン」というものに対しての考え方が、たっぷり描かれています。
タイトル買いした結果、面白すぎてひっくり返りました。
100年の価値をデザインする: 「本物のクリエイティブ力」をどう磨くか
フェラーリやマセラティなどをデザインした、カーデザイン界の雄、奥山清行さんのデザイン方法論が存分に楽しめる一冊。
車だけでなく、空間やプロダクトにも手を広げる奥山さんの思考は、僕にデザインの幅広さと共通性を教えてくれました。
「日本人」という点にも深く切り込まれており、頷くところばかりで付箋まみれになっています。
コンセプトのつくりかた
任天堂「Wii」生み出した男、玉樹真一郎さんの思考術。
何かを作る(デザインする)時、そこにはコンセプトというものが必ず必要になってくる。そして、そのコンセプトがわかってしまえば、自ずとやることはわかってくる。
単にデザインだけでなく、世の中のあらゆることにあてはめることの出来るこの考え方を、是非。
レイアウト、基本の「き」
雑誌やフライヤー、Webなどにおけるレイアウトというものが、どのように構築されているのかを分析し、ものすごくわかりやすく解説してくれている良書。
単にビジュアル的なカッコよさではなく、「何故それがそうなのか」を理解するために読んでおくべき、デザイン初心者必見の一冊。
安藤忠雄 仕事をつくる―私の履歴書
世界が誇る安藤忠雄さんが、自身の半生を振り返りながら、建築とどのように向き合ってきたのが描かれた自伝風の一冊。
あの有名建築がどのような考え方のもとで生まれてきたのかがたっぷり味わえる点もそうですが、生き方、という点においても非常に学ぶことの多い作品です。
茶室とインテリア
戦後、欧米化した日本のライフスタイル。しかし、何故か僕らは未だに靴を脱ぎ、畳で安心する。僕らが本質的にもっているこの感性は一体何なのか?
タイトルで誤解されそうですが、単にインテリアだけの話にとどまらず、今海外で注目を集める日本の伝統文化を、さまざまな切り口から分析、解説した、日本人デザイナー必携の一冊。
陰翳礼讃
まさかの最後は、小説家・谷崎潤一郎の随筆集。
「日本の美は、光と影の中でこそ生まれる」と説いた名著中の名著。
西洋文化との比較を通して、僕ら日本人が持つ美的感覚の本質に迫ります。
他にも、日本の「暮らし」の中にある当たり前のことに目を向けて、「日本文化」を再考させてくれるきっかけになる一冊。
日本人デザイナーとして持っておきたい考え方、感性を再確認させてくれます。
まとめ
ここで紹介した8冊はどれも、僕がデザインというものが何なのかを理解しようとする過程で非常に役だった素晴らしい本ばかりです。
技術書から自伝、エッセイまで色々でましたが、未見のものがあれば是非手にとってみて下さい。
きっと、デザイン、あるいはものづくりというものに対しての考え方に、いい影響をもたらしてくれると思います。
ちなみに、これだけの良書を読んでも良いデザインが出来るようになるか、はまた別の話のようです(実体験)。泣きたい。