Day26. 国境を理解できないぼくら(エル・パソ,テキサス)

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日本で生まれ育ったぼくらにとって、陸続きに「この線から向こうは違う国ね」なんて状況に置かれたことが(幸運なことに?)ないので、陸上の国境というのはいまいちピンと来ません。

エル・パソに来たのは完全にホワイト・サンズへと向かうための中継地点で、それ以上の特別な意識はありませんでした。しかし、アメリカとメキシコの国境の街であるそこは、とても独特な雰囲気が漂っていてとても興味深い街でした。

シーニック・ドライブから見える夜景は圧倒的に素晴らしい。
でも、その光の中にひっそりと、二国を隔てる強固な壁がそびえています。

車中泊に対する緊張感の薄れ

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もう何度車中泊をしたのかもわかりませんが、徐々に感覚が鈍ってきて、最初の頃にあった緊張感や危機感のようなものはすっかり薄れてしまいました。

一応最低限の安全確認や注意はしますが、初期の頃の「そわそわして眠れない」なんて状況はほぼありません。

この日もテキサスのど真ん中のレストエリアで快適に目を覚まし、朝の身支度を整え、コーヒーを飲みながら朝の景色を楽しみました。

後々友人から聞いたのですが、テキサスの銃所持率の高さは約36%。
三人に一人以上が銃を持っていて、銃犯罪率も高いので要注意なんて聞いて少し焦りましたが、そもそもこんな寝袋やらギターやらを詰めて、安っぽい服を着た(良くも悪くも品のいい観光客には見えないはず)金のなさそうなアジア人の男を狙うメリットが犯罪者にあるのかも疑問です。

何はともあれ油断は禁物なので、今後もちゃんと注意はしていきます。死にたくないからね!

エル・パソへ

エル・パソへ到着したのは午後3時頃。

この日も実は前日にAirbnbで部屋を抑えており、事前にホストとコンタクトを取ってありました。

高速を降りてすぐに家に向かったのですが、エル・パソのダウンタウンにすぐ近い、閑静なエリア。

迎えてくれたホストはおそらく20代前半のフレンドリーなヒスパニック系の青年で、部屋の案内もほどほどに、オススメのタコス店や街の見所についてなどを親切に教えてくれました。

部屋は二階にあるドアなしの半個室のような感じ。(元々あったドアがなぜか撤去されていた)
ベッドは壁の影に隠れており、多少のプライバシーは確保できます。

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真ん中にトイレを挟んで個室があり、そこにも別の欧米人男性のゲストがいました。(あんまり愛想よくなかった)

落ち着いてまず最初にしたのは、シャワー。(笑)

テキサスは他のエリアに比べてやや湿気もあり、先日のオースティン散策の時の汗もあったのでとにかく早く汗を流したかったのです。

さらに洗濯機も使っていいとのことだったので、ここぞとばかりに溜まった洗濯をまとめて実行。

結局エル・パソについて最初の三時間ほどは、ひたすらに身の回りの作業でした。

シーニック・ドライブ

一通り落ち着いて日も傾いて来たので、日中にまずシーニック・ドライブという、アメリカとメキシコの国境及びアメリカのエル・パソとメキシコのフアレスという二つの街を見渡せる場所へと行く事に。

ホストの家からも近く、10分ほど、緑の少ない、荒野の山(?)道を登っっていきます。

たどり着いたビューポイントからの景色は、昼間だというのに圧巻。

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決して高くはない建物たちが、見える地上に大きく広がっていました。

観光客はそれほど多くなかったのですが、ほとんどの人がヒスパニック系の人たち。
彼らは、メキシコからの観光客なのか地元民なのか。

ミッショントレイル

ダウンタウンの町歩きに行っても良かったのですが、個人的にはもっと素朴な風景を見たいなと思い、少し車を走らせて、郊外にあるミッション(伝道所)のトレイルを回ることに。

このトレイルにはいくつかの小さなミッションがあり、これらはスペイン統治時代に原住民をキリスト教へと回収させるための場所でした。先日サン・アントニオで訪ねたアラモ砦と同じですね。

ダウンタウンから30分ほど車を走らせてトレイルの場所へと向かうのですが、ハイウェイを走る最中、メキシコとアメリカを隔てる国境のフェンスが高速に沿うようにして立っている光景に、とてつもない違和感を感じました。

まず最初に訪ねたのは、エル・パソから一番離れているサン・エリザリオ。

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白塗りの派手さのない外観で、のっぺりしていました。

残念ながらすでに閉館時間になっており、入ることは叶わず。(中は比較的近代的になっているそう)

エル・パソ方面に向かって戻る形で進めていき、次なる到着地点はソコロ教会。

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こちらは先ほどに比べてやや角ばった作りになっており、それでいてやはり質素。

反対側にはやけに派手な墓所があり、いろいろとりどりの十字架が立ててあって不思議な景色。
隣には妙な祠?のようなものがあって、不思議でした。

最後はイスレタ?イーズレータ?(Ysleta)教会。

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どうやらリノベーション中のようで、まだまだ現役で使われている様子。
形式は先の二つのデザインを合わせたかのような雰囲気でかなり近代的でした。

17世紀のスペイン植民地時代に作られた三つのミッション。
メキシコとアメリカの間にありながらそのテイストはスペイン由来。
また、この土地自体がその3国によって奪い、奪われしてきた場所。

文化も入り混じり、多くの変遷を経てきた街。そんな移り変わりをずっとここで見てきたこのミッションたちは、その白い壁に、どんな歴史の影を写してきたのだろう…なんてロマンに思いを馳せます。

結局三つとも入ることは叶いませんでしたが、道中に知り合った夫婦がやけにフレンドリーだったり、街とはまた違う、国境の田舎風景を見たりと、暖かな夕日の中で心地の良いドライブを楽しめました。

Chico’s Tacos

エルパソに来たら絶対に食べようと思っていたのが、タコス。

そもそもエル・パソに住む住民のほとどんどがメキシコ系(ヒスパニック)であり、当然その食文化もアメリカというよりはメキシコに近いものになっています。

ここでメキシカンフードを食わずして何を食う。

おすすめのタコス屋さんは、Airbnbのホストに確認済み。

彼にオススメしていただいた「Chico’s Tacos(チコズタコス)」へと行きました。

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こちらのお店は、入るとどこか中華料理屋っぽい香りがしてびっくり。
調味料とかの関係でしょうか。そういえばニューヨークでもメキシカンのお店とチャイニーズのお店って内装とか構造似てたな、なんでだ。

こちらはキャッシュ(現金)オンリー。

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しかし、何を注文していいか全くわからなかったので店員に聞いてみると、「初めてならとりあえずタコス食っとけ!」とのことで、言われるがままに注文。

店が混んでて(そして唯一のアジア人でアウェー感すごかったので)、車の中で食べるというなんとも残念な結果になってしまったのですが、味は最高でした。

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写真のクオリティが低くて伝わりにくいですが、細長いハードシェルの中に肉がぎっしり詰まっており、ふんだんに盛り付けられたチーズに加え、自分でサルサソースをかけて食べます。

地元民に愛される理由は、食べてみればわかるはず。

再びシーニック・ドライブ

お腹も満足したところで次に向かうのは、昼にも一度訪ねたシーニックドライブ。

実はここ、夜景が素晴らしいことで有名なのです。

というわけで再びダウンタウンへと戻って車を進めるのですが、先ほどと同じ高速を戻りながら見えたエル・パソ(とフアレス)の街の夜景がそこからも見え、思わず感動していまいました。日が落ちてからのエル・パソ入り、オススメ。

そして再びシーニックドライブへ。

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夜の山には、メキシコ側へのサインとも取れる、星型の光が映し出されています。

先ほどと同じビューポイントに戻ると、あふれ返る車たち。ちょっとした渋滞状態ですが、ここはアメリカ(それもメキシコ国境)。

みんなワイルドに、路駐しまくっております。(ぼくもしました。)

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そして見えた夜景がこれ。

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多分、今まで見たどの夜景よりも、「はっきり」と見えた夜景だった気がします。

遠くは真っ暗なのに、こうして一部だけが異常なほどに明るく美しい光景は、日本ではちょっと見ることのない、新鮮な画でした。

ただ、こんなにも美しい景色の中には二つの違う国が同時に存在しており、肩やその美しさの陰に、世界有数の犯罪都市の姿が隠れていることには、複雑な気持ちでした。

無事に山を降りてきたのは夜の9時ごろ。

本来なら、夜の街へ繰り出してバーで一杯、なんてのがおそらくはここでの楽しみ方(予想)なのですが、一人で節約旅というのもあるし、気持ち的にも家でゆっくりしたかったので、この日はこれで帰宅。

帰ってきたホストと少し話をし、バックヤードを案内してもらいました。

家の裏にひっそりとあるバックヤードは程よい気候で心地よく、特にここで飲むビールは最高。

しばらくここで作業をさせてもらいつつ、明日の朝にはホワイトサンズに向けて発つことも踏まえて、この日は夜11時頃には床に着きました。

エル・パソとシウダー・フアレス

そもそもテキサスというのは、アメリカとメキシコ両国の関係において非常に重要な地点です。

というのも、二つはメキシコ共和国時代は一つの街でした。
それが、米墨戦争(アメリカ=メキシコ戦争)によって土地をアメリカへと割譲した際、リオ・グランデ川を境に南北で分断されたのが、それぞれ、エル・パソとシウダー・フアレス。

治安が良く陽気な人々で溢れるエル・パソと違い、シウダー・フアレスは世界有数の危険都市として知られ、実際メキシコに住んでいた友人も、「マジで怖い」と太鼓判(?)を押すほどの場所。
一昔前まではエル・パソに行ったら、フアレスにちょっと立ち寄ってビールを飲みに行く、なんてのもメジャーだったそうですが、近年の治安悪化で、一度フアレスに入る=メキシコに入国すると、単純に街が危険なのとは別に、アメリカ側にスムーズに戻ってこれない可能性もあるそうです。(麻薬や覚醒剤のルートにもなり得るので非常に厳重)

そんな二つの街を遮るのは、国境という名のフェンス。
高速に沿って延々と続くその姿は、異様な空気を醸し出しています。

そしてその隔たりは、北太平洋からメキシコ湾まで続いています。

「国」ってなんなんだろう?

昔にも一度書きましたが()日本人は陸続きに国境を持っていないせいで「自分の国」というものに対しての意識が他国に比べて低いと感じます。
ニューヨークで暮らしていた時、様々な国籍の人たちと知り合い話しましたが、皆「愛国心」というものを当たり前に持ち、口にしていました。(特に欧米諸国。中には自国が大嫌いな人もいますが)

しかし日本人が日本に対する愛を口にすると、同じ日本人からは「うわぁ・・・」と、どこか引き気味で見られることも多い。(すぐに右翼とか言う)

これは恐らく、目に見える国境がない故にこれまで他国を意識するようなことがなく、結果自国をを客観的に見る機会に恵まれなかったのがその大きな理由だとぼくは考えています。(今大慌てでインバウンドだと外国人対応に追われているのがその表れです)

それくらい「自国」に対しての感覚が薄いぼくらから見て、このフェンスというのがどういう存在なのかを本質的に理解することはとても難しい。

あの向こうに、別の国がある。

ぼくらからすれば、そこにいる人々をヒスパニック、メキシコ系という風には認識できても、彼らがアメリカ人なのかメキシコ人なのかはわからない。
肌の色も、文化も、これほどまでに共有しているものがたくさんあるというのに、たった一本、こうして線が引かれた事によってそこで暮らす人々は「アメリカ人」と「メキシコ人」。

真逆とも言える環境を隔てる、フェンス。

一体彼らは、どんな風に互いを見ているのでしょうか。
メキシコに生まれた人は、このフェンスの向こうで生まれていれば…と感じるようなこともあるのでしょうか。

ホストとそういう話もしてみたかったですが、夜はあまりゆっくり話せる時間がなかったので、残念です。

そんな感じで。

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