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Day17. ぼくらが見えないフリをしているもの(インディアナポリス〜シカゴ)

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アメリカ横断、放浪の旅を体験した人々の話をこれまでも多く聞きましたし、それに関する書籍も何冊か目を通しましたが、どこでも触れられることのなかった、そしてやってみて初めて気づいた、ある事実があります。

それが、路上に転がる動物の死骸について。

一度アメリカのフリーウェイを走った人たちなら良く知る光景ではないでしょうか?

路上に、あるいは道の端に転がる、シカや、ウサギや、リスや、その他動物達の無残な死骸達。

彼らはぼくらの通り道である道路を横断しようとして、不幸にも、車に跳ねられた動物達です。

目次

記憶を辿って

以前にも書きましたが、この旅は自分の過去の思い出を辿る旅でもあります。

6歳の頃、父の仕事の関係でほんの三ヶ月だけテキサスのカレッジステーションという街で暮らしたのですが、その時、10日ほどかけてアメリカの一部を、家族と車で旅をしました。

その中で訪ねた街のうちの一つが、インディアナ州、インディアナポリス。

その場所の記憶は一切ありませんでしたが、母から送られてきた写真を頼りに、街を散策しました。

ニューヨークや、昨日訪ねたシンシナティに比べればずっと小さな街。

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これといって目立った観光地もなく、メインにあるのはこの街の真ん中にある記念塔くらい。

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ここで、妹とのツーショットが残っていました。

父は所用で一緒にいなかったらしく、母に連れられて妹と三人で街を観光したそうです。

LINEでリアルタイムで母と連絡を取りながら、写真を送り合い、ここは見覚えある?あそこは?などとやり取りをしながら街を歩きました。

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便利な時代になったものですが、ぼくが全く覚えていない&母の記憶も曖昧なことがあって、ほとんど「ここだ!」という場所は見つけられませんでしたが。

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やたらとアクティブなホームレス達を避けながら、街の中心部を一通り歩き、再び車へと乗り込みます。

ここへはいつか、母と妹も一緒に来たいな。

道を渡ろうとした命たち

インディアナポリスからシカゴへと向かう道。

樹木を、あるいは大地を切り裂くように敷かれたコンクリートの道を、延々と走ります。

途中、マクドナルドやガソリンスタンドで自分や車のエネルギーを補充したりしつつも、基本的には走りっぱなし。

広大な大地と自然の中、ひたすら前を向いて走りながら、視界の端には何度も、道の端に倒れた「死」が映ります。

基本的には小型の小さな動物ばかりだけれど、たまにそこそこなサイズの鹿なんかもいたりして、死後硬直で足がピンとした状態のまま固まっていたり。

あまりにも何度も目にするものだから、彼らが一体どうしてこうなってしまったのだろうかと、運転しながらずっと考えていました。

恐らく、彼らが生まれた時にはもうこの道はあった。
昔からこの周辺に住んでいたのか、たまたまここへ迷い込んできたのか。

いずれにしても、車が行き交うこのコンクリートの道の向こうに、彼らを惹きつける何かがあったのでしょう。
だから、危険を賭して彼らはここを渡ろうとした。(危険と判断していたのかは定かではありませんが)

思い出したのは進撃の巨人

壁に囲まれた世界。主人公を始めとするキャラクター達は、壁の向こうに何があるのかを知りたがり、その壁を越えようとする。

しかし、壁の向こうへと出て生きていられるのはほんの一部。

中にはこのコンクリートの道を超えた個体もいたでしょう。

しかし、超えることが出来なかった、鉄の塊に跳ね飛ばされ、あるいは踏み潰されたものたちは、あまりにも多い。

彼らの世界を奪った

ぼくら人間は、彼ら動物よりも少し賢かった。

賢かったから、道を作り、領地を広げ、利便性を求めて道を敷き、世界を広げていった。

それは同時に、ここに本来いたものたちの住処を分断し、奪うことでもあった。

もともとは道などない、限りなく広がる大地が彼らの世界だったのに、その世界をぼくたちがぶった切り、彼らをコンクリートの道で囲み、閉じ込めた。

おかげでぼくらは街を作り、住まいを得、生活を手にした。

ぼくがこうしてアメリカを自由に旅することができているのも、そのおかげだ。

シカゴにて

たどり着いた街は巨大でした。

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その規模は、ニューヨークのマンハッタンなんて比較にならないくらい。というか、改めてニューヨークの小ささすら感じるほどに。

膨大な車と建物の数。

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これらが一箇所に集まるために、一体先人は何本の木を切り倒し、何匹の命を奪ったのだろう。

ぼくらは、多くの犠牲の上に立って、歩き、暮らしている。

今更その事実を変えることは出来ないし、すべてをゼロに戻すことなんて出来ない。

ただ、ぼくらが今生きているというのはそういうことなのだと、改めて、認識する。

そういうことを、今まで、ずっと見えないフリをして生きてきたのだと、改めて、気づく。

そして多くの人が未だ、それを見えないフリをしているという、事実。

見なくていいのだろうか?向き合わなくていいのだろうか?

今自分たちが置かれているこの環境を、当たり前のこの状況を享受し続けることが、正しい「生き方」なのだろうか?

考えることが尽きることのない旅。

この日の模様を動画でも

そんな感じで。

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さがやん
ブロガー/企画屋
仕事や遊びを効率化するガジェットやツールを愛して止まないブロガー。大阪でデザイン制作やスタジオ運営をする会社を経営しながら、田舎の古民家と行き来する二拠点生活を行っています。
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